高血圧は脳卒中の最も重要な危険因子の一つです

心臓は収縮と拡張を繰り返すことで、血液を全身に送り出しています。このときに血管壁にかかる圧力のことを「血圧」といい、血圧が持続して高い状態が「高血圧」です。

日本高血圧学会では、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上の状態を高血圧としています。高血圧で血管に高い圧力がかかり続けていると、血管を構成している真ん中の層(中膜)が分厚くなるため、血管が本来持っているしなやかさが失われて、固くなってしまいます。これが「動脈硬化」です。

高血圧の人は正常血圧の人に比べると、15〜20年も動脈硬化の進行が早いといわれています。脳の細い血管で動脈硬化が起きると、血管の内腔がだんだんと狭くなり、最終的には詰まってしまい、ラクナ梗塞を引き起こします。

また、血管に常に負担がかかっていると、血管壁が傷つきやすくなります。そこに血中のコレステロールやカルシウムなどがへばりつくと、アテロームという塊を形成します。アテロームが何らかの原因で破れると、血の塊である「血栓」ができて、脳の太い動脈などを詰まらせるをアテローム血栓性脳梗塞引き起こします。さらに、高血圧に耐え切れずに破綻してしまうと、脳出血を引き起こします。

このように高血圧を放置していると、脳卒中をはじめ、心筋梗塞、心不全、閉塞性動脈硬化症などの合併症を引き起こす危険性が高くなります。収縮期血圧が180mmHg以上の人は、脳梗塞と心筋梗塞の発症リスクが健康な人に比べて約8倍も上昇するとされています。

個人差はあるものの、たばこ一本の喫煙で血圧は約20mmHg上昇します。喫煙者には、病院での血圧が通常の血圧よりも低い「仮面高血圧」が多く見られるため、治療の機会がないまま放置されているケースがあります。

女性ホルモンには血管の収縮や老化を防ぐ作用があるため、女性の血圧は男性に比べて低い傾向にありますが、閉経後の女性は、女性ホルモンの低下の影響で血圧が上昇し、高血圧と診断される割合が一気に増えるので注意しましょう。

高血圧にははっきりした自覚症状がないため、普段の生活ではなかなか気づきにくいものです。脳ドックで行なう血圧測定は、普段の健康状態を知る上でも重要な検査ですので、自分の血圧をよく把握しておきましょう。

高血圧と診断された場合、塩分摂取量を1日6g以下を目標とした食生活の改善、ウォーキングやジョギング等の適度な運動を行うことが推奨されますが、これらでコントロールできない場合は、降圧薬による薬物療法が行われます。