40歳以上が一般的ですが、危険因子が多い人は30歳代が安心

近年は「主治医が見つかる診療所(テレビ東京)」、「駆け込みドクター!運命を変える健康診断(TBS)」、「ためしてガッテン(NHK)」などの医療系バラエティ番組で、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)のテーマを目にする機会が増えてきました。

中高年の突然死の原因

これらの番組をご視聴になって、重い後遺症が残ったり、死に至ることもある脳卒中の恐ろしさや予防の重要性を再確認し、「自分も一回脳ドックを受けてみようかな?」と思われた方も少なくないことでしょう。その際に「ところで脳ドックって何歳から受けるのがいいのだろうか?」と、ふと疑問をお持ちになったかもしれません。

子宮頸がんや乳がんなどを対象とした各種がん検診には、受診すべき「推奨年齢」がありますが、脳ドックには厳密な意味での推奨年齢はありません。しかし、脳卒中の危険因子の有無などを把握できれば、ご自身が何歳で脳ドックを受けるのが理想的なのかがわかります。

脳卒中は「加齢の病気」というイメージが強いためか、現在、医療機関で脳ドックを受診する人の平均年齢は50歳代となっています。

しかし、40歳を過ぎると脳卒中の危険因子である、高血圧や高血糖、脂質異常(中性脂肪や悪玉コレステロールの数値が高い)に該当する人の割合が高くなってきますので、これらの検査数値が高い人は40歳を過ぎたあたりで一度検査を受けておくとよいでしょう。

一方、既に高血圧、糖尿病、脂質異常症と診断されている人、動脈硬化を指摘されている人、喫煙年数が長い人、アルコールの摂取量が多い人、あるいは家族や近親者に脳卒中になった人がいる場合、30歳代で脳卒中になって倒れるケースも少なくありません。

実際、人気女性アナウンサーの大橋未歩さんは34歳という若さで脳梗塞で倒れて、救急搬送されました。幸い、軽度の脳梗塞だったため、現在は無事にお仕事に復帰されていますが、それでも8か月間の療養が必要だったとのことです。

したがって、上記の疾患や生活習慣、家族歴が該当する方は、40歳を過ぎてからの受診でも遅くありませんが、少し早目の30歳代で受診しておくとより安心です。

ストレスも動脈硬化を促進

脳ドックの画像検査の中心となるのは、頭部の断面画像を立体的に映し出す「MRI」、頭部の血管の様子がわかる「MRA」、頚動脈の動脈硬化性変化を調べる「頸動脈エコー」ですが、いずれも放射線の被爆リスクはゼロなので、若い年齢で検査を受けることで生じるデメリットはありません。最近は20〜30歳代の若い世代でも受診する人が増える傾向にあります。

脳ドックで発見される異常の代表的なものとして、「無症候性脳梗塞」と「未破裂脳動脈瘤」が挙げられます。共通点はいずれも自覚症状が全くないという点です。

無症候性脳梗塞は、脳の微細な血管が詰まって起こる、いわゆる「隠れ脳梗塞」です。40歳以下にはあまり見られませんが、加齢とともに発見頻度は高くなり、脳のいろいろな場所にできると今度は本格的な脳梗塞を発症するリスクがあります。

未破裂脳動脈瘤は、脳の血管にできたコブのことで、破裂すると「クモ膜下出血」を起こして死亡することもあります。タレントの新田恵利さんは、出演番組の企画で脳ドックを受診したところ脳動脈瘤があることがわかり、大事に至る前に手術で治療をすることができました。

このように年齢に関係なく、今まで元気だった人を前触れなく襲うのが、脳卒中の一番恐ろしいところです。「自覚症状がない=脳卒中のリスクが低い」という解釈は危険ですので、若くて健康な人であっても、健康管理の一環として「脳ドック」という選択肢があるということを認識していただければと思います。