太い血管に血栓が詰まるアテローム血栓性脳梗塞

脳の太い動脈や、脳に血液を運んでいる、首の太い動脈(頚動脈)の動脈硬化が原因で起こります。高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病が大きな危険因子となります。従来は欧米人に多く見られた脳梗塞のタイプですが、近年は日本人にも増加しています。

血液中のコレステロールなどが過剰に増えて、血管壁に入り込むと、「アテローム」というお粥状の塊をつくります。アテロームを覆う膜が何らかの原因で破れると、そこを塞ぐために「血栓」という血の塊ができ、それが血管を詰まらせるのです。

また頸動脈などに動脈硬化が起こり、そこでできた血栓が剥がれて血流にのって流れて、脳の血管を詰まらせるタイプもあります。アテローム血栓性脳梗塞のなかで10%を占めるに過ぎませんが、急に血圧が低下して、動脈硬化で狭くなった分より先の血流が減少し、徐々に血管が詰まるタイプもあります。

アテローム血栓性脳梗塞の症状は、梗塞の起こる部位や大きさなどによってさまざまで、軽い片麻痺だけのケースから、昏睡状態に陥るケースまであります。たいていは片側の顔面や手足が動かせない、感覚が低下するといった症状が主体となります。

ほかにも、聞いた言葉が理解できなかったり、言葉が出ない「失語」、日常的な動作や行為ができない「失行」、身体部分や視野の半分が認識できず、無視してしまう「失認」などの症状が現れます。

安静時に症状が現れることが多く、睡眠中に起こり、目が覚めて発症に気づくことも少なくありません。太い血管が徐々に詰まる場合は、症状が段階的に進行することが多くなっています。

動脈硬化がゆっくり進行する間に、代わりとなる血管(バイパス)ができますが、脳の血流の低下は避けることができません。そのため「なんとなく頭がボーッっとする、スッキリしない」などの意識の変容が起きることがあります。本格的な発作を前に脳梗塞の前兆として、TIA(一過性脳虚血発作)を起こすことも少なくありません。

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