脳梗塞の約40%を占めるラクナ梗塞は脳の細い血管が詰まる

脳の太い動脈から枝分かれした、細い動脈に生じる脳梗塞で、高血圧の人に多いタイプです。高血圧などで、細い動脈に強い圧力がかかり続けると、血管壁が痛み、徐々に厚くなってきます。すると、血管の内腔が狭くなり、最終的に詰まってしまうのです。

日本人は遺伝的に細い動脈硬化が起こりやすい特徴があり、また高血圧の管理が充分でなかった時代もあったため、かつては日本人に圧倒的に多いタイプの脳梗塞でしたが、現在ではアテローム血栓性脳梗塞が増加しているため、その差はほとんどなくなっています。

高血圧のほかにも、糖尿病、脂質異常症(LDLコレステロールと中性脂肪が高い)、血液中の赤血球の割合が増えて、血栓ができやすくなる高ヘマトクリット血症などが危険因子となることもあります。

ラクナ梗塞は病巣が小さいため、梗塞が生じても、特に症状がみられない無症候性脳梗塞のことが少なくありません。脳ドックの普及によって発見が可能になった「隠れ脳梗塞」とは、このラクナ梗塞のことを指しています。

アテローム血栓性脳梗塞や心原性脳塞栓症などと異なり、大きな発作が起こることはありません。症状も運動麻痺や感覚障害が主で、「失語」、物や概念の認識がなくなる「失認」、手足の動かし方や、使い方がわからなくなる「失行」、片側の視野が欠ける「半盲」などは現れません。

ラクナ梗塞は、その半数が睡眠中や起床時などの安静時に発生するとされています。たいていは段階的に症状が現れ、少しずつ進行していきますが、突然発症して急激に悪化する場合もあります。

明確な発作がないままラクナ梗塞が何箇所にも発生し、少しずつ症状が進行していくケースもあります。これを多発性脳梗塞といい、認知症、言語障害、歩行障害、嚥下障害などの症状が現れます。