脳卒中は、脳の血管が障害されて起こる病気の総称です

脳卒中は、脳の血管が障害されて起こる病気の総称で、1年間に約13万人が亡くなっています。これはがん、心臓病に次いで日本人の死因の第3位に位置しています。

脳神経外科の専門医

症状はさまざまで、「激しい頭痛」、「体の片側に起こる麻痺や痺れ」、「視野が半分欠ける」、「言葉が出てこない」、「歩行障害」、「めまい」などが、突然起こります。

脳卒中は、血管が破れて起こる「脳出血」と「くも膜下出血」、そして血管が詰まって起こる「脳梗塞」の3つに分けることができます。

脳出血
脳の内部の血管が破れて、出血する病気で、その8割を占めているのが高血圧によるものです。脳の比較的細い血管が、高血圧によって障害され、破れやすくなります。数十年前までは非常に多くみられましたが、現在は減っています。

脳出血が起こると、出血が脳細胞を圧迫して、障害を引き起こします。やがて出血した血液が固まり、「血腫」になります。この血腫の周辺に生じる脳浮腫(むくみ)も、脳細胞を圧迫する原因となります。

くも膜下出血
主に脳の血管の分岐点にできた「動脈瘤」というこぶが破裂し、脳を包む「くも膜」と「軟膜」の間にある「くも膜下腔」に出血することで脳細胞が障害されます。

血液が急激に広がり、多くの場合は、今まで経験したことのないほどの頭痛が突然起きます。女性にも多く、40歳代と比較的若い年代から増え始めます。

脳梗塞
血栓(血の塊)が血管に詰まることで、酸素がその先の脳細胞へ送られず、壊死が起こる病気です。細い血管が詰まって起こる「ラクナ梗塞」、動脈硬化の病巣の表面を覆う幕が破れて血栓ができ、脳の太い動脈を詰まらせる「アテローム血栓性脳梗塞」、不整脈が原因できた血栓が、脳の太い血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」の3つのタイプに分類されます。

いつもと様子が違う!? こんな症状は脳卒中を疑います

脳の動脈が詰まったり破裂して脳卒中が起きると、それぞれの動脈が司っている領域の神経機能に障害が生じるため、以下のような様々な症状が現れます。

手の麻痺、しびれの症状

頭痛
突然、これまで経験したことのないような激しい頭痛に襲われたら、くも膜下出血を疑います。少量の出血なら頭痛は一時的なもので回復することがありますが、頭の重い感覚が残り完全に消えることはあまりなく、後に大出血を起こす前兆となるので注意が必要です。

脳出血でも頭痛を伴うことがありますが、それほど激しい頭痛ではなく、少量の出血では頭痛が現れないことも少なくありません。ただし、小脳出血の場合には後頭部に激しい頭痛が現れます。

脳梗塞で頭痛を伴うことはあまりないものの、大梗塞によって脳浮腫(むくみ)が起きて脳内の圧力が高まっている場合は頭痛と嘔吐が現れます。

運動麻痺
大脳の運動中枢や、大脳・脳幹の運動神経経路が障害されると手足の運動麻痺が起こります。運動麻痺の代表は半身のどちら側かに麻痺が起きる「片麻痺」です。左脳が障害されると右側に、右脳が障害されると左側というように障害を受けた反対側の上肢や下肢に麻痺が起こるのが特徴です。

上肢の麻痺は、中大脳動脈という血管が詰まることが原因で起こり、下肢の麻痺は前大脳動脈という血管が詰まることが原因で起こります。脳幹に梗塞を起こすと四肢麻痺が生じることがあります。これは脳底動脈という血管が詰まることでおこり、極めて重い症状が現れます。

片麻痺は、脳卒中で最も起こりやすい症状なので、左右どちらかの手と足の麻痺がほぼ同時に起こったら、最初に脳卒中を疑って家族に救急車を呼んでもらいましょう。

感覚障害
皮膚の感覚が麻痺、鈍くなった状態のことで、患者さんは「痺れる」という表現をします。上記の運動障害と同様に、右半身もしくは左半身の一方に障害が現れるのが特徴です。脳卒中で両手足の全てが痺れたり、指一本だけに痺れが現れることはありません。

言語障害
言語障害には、他人の話は理解できるけれど、思ったことを言葉に表現できない「失語」と、思ったことを言葉に表現はできるけれども、ろれつが回らない「構音(こうおん)障害」があります。失語は、前頭葉の言語中枢が障害されることで起こり、構音障害は下の筋肉を司っている脳神経が麻痺することで起こります。

視野障害
脳卒中では「半盲」と呼ばれる視野障害がしばしば起こります。半盲とは両目、左右どちらの目で見ても視野の右もしくは左半分しか見えないという症状です。半盲は、中大脳動脈や後大脳動脈が詰まることで、視神経から側頭葉や頭頂葉を通って視覚中枢のある後頭葉に至る視覚神経経路に障害が起こることが原因です。

複視
目を動かす神経がある脳幹に障害が起こることにより、物が二重に見える状態です。両目で見た時に限り二重に見え、片目では正常に見えるのがポイントです。片目で見ても二重に見えるのは、乱視などの目の疾患が原因です。

失調
力は入るのに、手足の細かい動きがぎこちなくなり、不器用になる症状です。失調は小脳の梗塞や出血が原因で起こります。椅子に座っていてもバランスが悪く、歩行は酔っ払いのようにフラフラとした歩き方になります。