初期の脳腫瘍は自覚症状がないため、脳ドックでの早期発見が重要

正常な細胞に異常が生じ、異常細胞が増殖して掲載されるのが「腫瘍」です。頭蓋骨で囲まれた部分(頭蓋内)にできる腫瘍の総称を「脳腫瘍」といいます。脳腫瘍は子供から高齢者まで幅広い年代にみられるのが特徴で、最も発症例が多いのは40代〜50代となっている一方で、15歳未満の発症者も全体の10%程度を占めています。

MRI検査で確認された脳腫瘍の写真

国内の脳腫瘍の患者数は10万人あたり10人程度と推測されています。よくある病気ではありませんが、決して珍しい病気ではありません。他のがんから脳に転移した「転移性脳腫瘍」を除いては、なぜ脳に腫瘍ができるのかはまだはっきりと解明されていません。

頭蓋内は脳がピッタリ収まっており、脳と骨の間のわずかのスペースには脳脊髄液が流れており、脳を保護しています。そのため頭蓋内には余計なスペースがほとんどありません。そこに脳腫瘍が発生すると周囲の組織や神経を圧迫して、頭蓋内の圧力が高まります。

できた腫瘍によって頭蓋内が圧迫されて圧力が高くなると、起床時に頭痛や嘔吐などの症状が現れます。障害される脳の場所に対応して、けいれん、麻痺、難聴、めまい、ふらつき、痺れなど症状はさまざまで、週単位で徐々にひどくなっていきます。

頭痛の症状は危険サイン

なかでも最もよく見られる症状が、慢性的な頭痛です。頭痛は初期の患者さんの20%、進行した患者さんの70%にみられます。脳腫瘍による頭痛は起床時に最も強く症状が現れ、日中はやや改善する傾向にあります。頭痛を放置しておくと、頭痛が強まるだけでなく、痙攣が起きたり、意識障害が起きることもあります。

しかし、初期のうちは腫瘍が小さく、無症状のまま進行することが少なくないうえ、発生部位によっては、かなり大きくなっても症状が現れないこともあります。進行するほど治療は難しく、生命にもかかわってきます。

脳腫瘍の診断に欠かせない検査が、MRIをはじめとする画像検査です。画像検査を行うことで、腫瘍の有無、発生部位、大きさ、周囲の組織との位置関係といった病巣自体の様子のほか、脳腫瘍に伴って生じる脳のむくみ(脳浮腫)の広がりもわかります。画像検査には、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(核磁気共鳴像)、DSA(脳血管造影)があります。

CT(コンピュータ断層撮影
X線を照射して得られる頭蓋内の映像をコンピュータ処理して画像化する検査です。造影剤を注入することで、より詳細な画像を得ることができます。

MRI(核磁気共鳴像)
強力な磁場の中に入ることで体内から出る信号を画像化する検査です。CTと違って放射線を使わくて済むうえ、腫瘍の形や内部構造をより詳細に画像化できます。造影剤を注入して撮影することもあります。

DSA(脳血管造影)
脳の血管に造影剤を注入した後にX線撮影をして脳の血管の様子を映し出す検査です。

脳腫瘍の予防策はありませんが、脳ドックで画像診断(MRI検査)を定期的に受診すれば、早期発見が可能です。腫瘍が小さい早期に発見できれば、それだけ治療もしやすくなります。

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