エダラボン(ラジカット)による脳保護療法

脳梗塞を発症すると、障害された脳細胞や血管から、フリーラジカル(活性酸素)が発生します。そして、梗塞部の周囲には脳神経細胞が死にかけている「ペナンブラ」と呼ばれる領域があります。フリーラジカルはこのペナンブラを攻撃して脳神経細胞を壊死させたり、周囲に別の血栓を作ってしまいます。

活性酸素を取り除きます

そこでエダラボン(商品名:ラジカット)と呼ばれる脳保護薬を投与してフリーラジカルを除去し、脳の障害を防ぐことにより、脳梗塞の後遺症を軽くしようというのが、脳梗塞の「脳保護療法」です。

エダラボンは、脳梗塞のタイプ(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症)に関係なく、発症後24時間以内であれば使うことができますが、発症後3時間以内であれば、特に高い効果を得ることができます。

日本で行われたエダラボンの臨床試験では、「後遺症がない」と「後遺症はあるが日常生活に支障はない」という人が、未投与の患者さんに比べて2〜3倍に増えたというデータが示されています。(Cerebrovasc Dis 2003;15より)

エダラボンを投与できれば他の治療法が必要ないというわけではなく、急性期に行える複数の治療法の選択肢の一つです。脳梗塞の程度や症状によっては、脳保護療法と抗血栓療法(t-PAによる血栓溶解療法、抗凝固療法、抗血小板療法)を組み合わせることで、治療効果を高めることも期待されます。

現在、脳に発生したフリーラジカルの量を簡単に計測する方法が研究されています。これが可能になれば、エダラボンの使用量を患者さんに合わせて決めることができ、より高い治療効果を得られるのではないかと期待されています。

エダラボンを腎臓の悪い人に投与すると、急性腎不全を起こす危険があるため、思い腎臓業がある患者さんには使用できません。腎臓の機能が低下している人や高齢者への投与は慎重に見極める必要があります。

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